カンボジアの人々2

◆ソティーさん

ソティーさんは私たちのガイドだった。

ガイドさんなので、もちろん日本語ぺらぺら。

にしても、やけに流暢だった。

聞いてみると、日本語通訳としてカンボジア首相の来日時に同行したりもしていたらしい。

日本の政治動向にとても詳しかった。

ちょうどそのとき、安部首相が退陣したばかりの、空白期間だったので、

「次の首相は誰がなるだろうね?」

などということも話題にしていたりして。

ソティーさんは麻生さんがお気に入りだったらしく、

「麻生さんかね?麻生さんだったらいいなぁ」などと言っていた。

閣僚のキャラクターまで把握してるし。。。

恥ずかしいことに、そのときの私はカンボジア国家元首の名前すら知らなかった。

カンボジア立憲君主制で、現在の元首はノロドム・シハモニ国王。)

ゆくゆくは、政治家になりたいのだと言っていた。

がんばってほしいものである。

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◆小島さん

シェリムアップの街中に日本人観光客が大勢訪れる人気のクッキーやさんがある。

経営しているのは、日本人女性の小島幸子さんという人。

もともとカンボジア日本語教師・観光ガイドとして働いていた彼女は、「カンボジアには適当なお土産がない」という声に応えて、一台のオーブンでクッキーを焼き始めた。

地元産のヤシ砂糖や、ハス茶などを使った素朴な味わいのクッキーは、観光ブームにのって売り上げを伸ばし、今では従業員60人を抱えるまでに成長したそうである。

店の立ち上げには、地元女性の自立の道を提供する、という思惑もあったそうで。

20年以上内戦が続いたカンボジアでは、時計を使わない生活が長かった。

時間に対する認識をはじめ、さまざまな価値観のずれを克服してスタッフを教育するのは、並大抵なことじゃなかったことだろう。

日本式の経営にこだわったその店は、確かに日本人の私にとっては、ほっとできる空間だった。

明るく衛生的で、店員もにこやかで礼儀正しい。

店内で彼女を見かけたが、線の細いおとなしげな人に見えた。

(初め、ただの一店員かと思った。)

芯はしっかりとした強い意志を持った女性なんだろう。

成功した事業者である彼女だが、結婚して家庭を持つのが夢なんだとか。

(まだ若い。30代そこそこ。)

いつかはカンボジアを去ってしまう。

彼女のまいた種がしっかりあの地に根付いて、継承されていってくれればいいなと思う。

madam sachiko