Oくんへ

大学時代の同級生でオケ仲間の男性が亡くなった。
登山中の事故だったという。


いじりがいのある楽しいヤツだった。
あの頃、図にのってからかってごめん。
あなたは一度だって、怒ったことなかったね。(本当は怒ってたかもしれないけど。)
それどころか、しょっちゅうこちらを笑わせてくれた。

尊敬できるヴァイオリン弾きだった。
これ、ホント。あなたに言ったことはなかったけれど。
あなたがコンマスをやっていたおかげで私たち、色んな大曲にもチャレンジできたのよね。

とりわけモーツァルトを愛していて。
CDの最初の一音だけでえらく感動しているあなたを見て、私も感動してたっけ。
音楽って、すごいな、って。
あなたと一緒に演奏したオーボエ四重奏は、一生忘れない。
こないだ、あなたの工場でまた再演しようって、他のメンバーと話してたのに。
それも、かなわずじまい。

卒業してから一緒に演奏することも少なくなって、それぞれの道を歩いてきた今、
あなたがどんなことを考えて、夢見て生きていたのか、私は知らない。
でも、ずっと大切な仲間だったことには変わりない。


愛する奥さんと小さいお子さんを残して、さぞ無念だったろうね。


直接お別れはできなかったから、これをお別れの挨拶に代えさせてもらうね。
私たちみんな、あなたのこと大好きだった。
Oくん、さよなら。
どうかどうか、安らかに。